ちょっと街まで

「驍宗様〜!」

顔一杯に笑みを浮かべて、向こうから泰麒が走ってくる。

二人で外出しようと約束をしていたのだ。

驍宗は一生懸命に駆けて来る泰麒に目を細めた。

「お待たせいたしました」

泰麒は驍宗の腰に抱きついて、顔を見上げた。

「とても待たされたからな、待ち疲れたところだ」

「えっ?」

泰麒は困惑した表情を浮かべた。

それに対して驍宗は声を上げて笑った。

「冗談だよ、蒿里」

「冗談ですか・・・?良かった〜」

泰麒の顔にまた笑顔が戻った。

「すまないな。お前を見ているとつい、な」

「驍宗様って意地悪なんですね」

「思った事をそのまま言うんだな、麒麟という物は」

泰麒の強かな反撃に驍宗は不意を衝かれた。

「そうですか?それより、今日はどこへ?」

「下まで降りようと思っているのだが、どうだろう?」

「街まで!?」 泰麒の顔がより一層明るくなった。

「ああ。さあ、行こうか」

驍宗は、泰麒を抱きかかえると脇にいた騎獣に乗せ、自分もその背中に飛び乗った。

驍宗の合図で、騎獣は地面を蹴ると、空高く飛び上がった。


雲海の上にいる彼らにとって、下界は遠い所だ。


行こうと思えば、数分で行けるのだが、そう言う訳にもいかない。

これは、距離の問題ではない。

立場の問題だ。

下界に下りて、もしもの事があってはこの国は再び荒れてしまう。

それ故、滅多に行けない場所

だからこそ、泰麒は嬉しかった。


街で何をするのだろう。買い物だろうか。

騎獣の背中で、泰麒は頭をフル回転させていた



○あとがき○
 しばらく更新出来てなかったので、小説を書いてみました。
 泰麒は麒麟の中で一番好きかもしれません。
 でも、六太も良いな。
 いつか、尚隆と六太も書こうかと思います。