初めて

イルカ先生!大丈夫ですか!?」

静かな病室に、カカシのいつにもない慌てた声がこだまする。

「カカシ先生、静かにしてください。ここは病院ですよ」

ドアの所で立ちすくんでいるカカシを見つけて、イルカは穏やかに言った。

「そ、そうですけど、イルカ先生がっ!」

ベッドに近づいてみても、カカシはまだ落ち着かない。

「大した事はありませんから。ちょっと疲れが溜まってるみたいです」

イルカが微笑みながら言うと、カカシは、安堵の表情を見せた。

いつも見えている瞳は、いつもとは違い、潤んでいる。

「って、カカシ先生?」

イルカは思わず、声を上げた。

カカシの涙を見るのは初めてだ

何と言か、カカシに涙腺と言うものがあるとは思っていなかった

「オレ、心配で、心配で……」

うつむいて、涙を拭きながらカカシは言う。

「カカシ先生・・・」

イルカは、カカシがこれほどまでに、自分を心配してくれているとは思ってもみなかった。

『好き』だなんて言葉は言ってくれても、それが本心かどうかなんて分からない。

でも、こうやって涙を流してくれているのだから、今までの言葉や、行動は嘘では無いのだろう。

本当に想っていてくれるのだと確信できて、嬉しくなった。

「ありがとうございます。こんなに心配してくれるなんて、思ってませんでした」

カカシは、顔を上げると、ムッとした表情をした。

「イルカ先生、それ、ちょっとヒドイです」

「普段のカカシ先生を見てれば、誰だってそう思いますよ」

イルカはさらりと言った。

その言葉に、カカシと言えど、多少は傷ついたらしい。

「忍者たるもの、感情は殺さなければならないんですから、当然です」

カカシは表情を崩さないまま、淡々と言ったが、目の淵はまだ濡れている。

「そうですね」

そう言って、イルカはクスクスと笑った。

「何笑ってるんですか?」

「やっぱり、カカシ先生が泣いてるのって、変です」

「変って、アナタ」

「カカシ先生には、いつもの顔が似合いますよ」




○あとがき○
 カカイル小説2作目!!
 病気ネタを書きたかったんです。